彼岸花
◆O氏・彼岸花
◆彼岸花は、人跡のなき土に咲く。田舎なら畑に近い斜面、畦道の脇、寺の庭、捨畑、墓地の狭間・・・ほんとうはどこにでも咲きたいのだが、毒があると言われたり、死人花などと言われて根こそぎ捨てられる運命にある。田舎に育った私は、子どもの頃、彼岸花の点を線で結んで、神仏の行く道なのだと思った。人跡がない稀な場所、幸いにも人の目こぼしになった自然がここには存在する。彼岸花の紅が消える頃、モチノキの実が赤くなる。灯を受け継ぐようで、これまた自然の神聖な営みだと思っている。
三郷になるが、水元公園の北側出口のあたりに、江戸川水路と大場川を隔てる水門橋「閘門橋」がある。明治時代の遺跡。煉瓦造りに鋳物の手すり、作業をする門番の彫刻があり、芸術的な橋だ。労働する二人の姿は写実的で精巧である。このような設計企画を許し実現した当時の行政を評価したい。
二つの川を船が移動するとき、門を閉ざして水を堰きとめ、水位を一定にするのがこの仕事らしい。傍らの鰻やに入る前に、この橋の魅力を発見していただきたい。金町から戸ガ崎操車場行きバスで10分。
◆数日間の独身生活。この自由がたまらない。犬猫の生活時間に合わせなければならないから、遠っ走りはできないが、制約のなかでの自由は満喫できる。CDで歌謡曲を聴く、ギターやキーボードを弾いて歌謡曲をうなる、アルコールに甘味・・・ささやかなものだが。
◆今日もまた、おとぼけ犬のエミ太郎を連れて、四つ木界隈をお散歩する凡夫ひとり。
女(ひと)遠くなるをひがむな彼岸花
せめて立石・栄屋のオハギ(つぶ餡)を求めて帰らむ。
◆今日の3首
差し交わす紅萩の枝風放つ奥戸中川みづはのめの道
夕暮のこころまどひの歩の乱れ読むがに犬はわれを窺ふ
足らざれば善とは云はじ誤解より生(あ)れし怨みを秘めて逝きしか
◆小田原城址の象舎住人「梅子さん」が亡くなった。合掌。
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